聖域に造営された按司の墓9 首里城の古墓
神格化された按司(支配者)の墓は、聖なる山の頂部直下の中腹に造られた。
今回は、
聖なる山、首里グスク(首里城)の崖下にある古墓です。
首里グスクの自然地形上の最高所は、
京の内という聖なるエリアです。
首里グスクの中でもっとも南に位置し、エリア内に数ヶ所の拝所が設けられています。
あまり見られない構図ですが、上の写真は、首里城を南側から撮った写真です。
観光の入口とは反対側になります。
城壁を隠すほどうっそうと茂った森の上あたりが、京の内になります。
そして、下の写真は京の内の中でも最高所にある拝所です。
京の内、最高所の拝所
さて、あまり知られていませんが、京の内の崖下にはいくつか墓が出土しており、発掘調査報告書も出ています。
中でも、すでに空墓でしたが、報告書の中で「古墓」とされた2つの並んだ墓が、とても興味深い位置にありました。
上の図面は、京の内の測量図面と崖下の測量図面をたけぞうが合成・加筆したものです。
青四角が京の内最高所の拝所、
赤四角が崖下の古墓、拝所と古墓の間の
灰色のくねくねした線は城壁です。
これを見ると、な、な、な、なんと!
2基の古墓は京の内最高所の拝所の直下にあるではありませんか!
首里グスクを南から撮影した上の写真でいうと、古墓は崖下のうっそうとした森の真っただ中にあることになります。
典型的な按司墓の立地なんですよね~。
被葬者はいったい誰だったのでしょう?
そういえば、首里グスクを居城としていた察度王のお墓って、どこにあるか伝わってないよな~
・・・なんてことを言っていると、ちゃんとした研究者から爪はじきにされるので聞かなかったことにして下さい(笑)
参考文献
沖縄県立埋蔵文化財センター『首里城跡 ―城郭南側下地区発掘調査報告書―』第19集 2004年
沖縄県立埋蔵文化財センター『首里城跡 ―京の内跡発掘調査報告書(Ⅱ)―』2009年
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