聖域に君臨した按司2 中城グスク(3Dモデルあり)
グスク時代の支配者、按司(あじ)は、聖域(=グスク)に君臨することで自らの権威・神威を誇示した
(
グスク支配者聖域君臨説)
その具体例をみていくシリーズ。
第2弾は
中城グスクです。
中城グスクに限りませんが、多くのグスクは急峻な崖の上に築かれています。
重要なのは、
グスク成立以前には人の出入りがほとんどなかったこと。
ある時代(12~14世紀にかけて)から突然、「この崖の上に住みついてやれ!」となるのです。
それ以前は、めったに人が踏み入ることのない聖地でした。
しかし、自然の丘陵なので、諸施設を構える平場はふつうありません。
平場を作るために、凹部は埋め、凸部は削るなどしました。
上の2枚の写真は一の郭の平場造成の痕です。
見事なまでに石灰岩が平らに削られています。
こうして大胆に平場を造る中、
崇拝対象である岩(イベ石)は自然の姿のままに残す、というのがグスク聖域の典型的な構造です。
中城グスクにもこうしたイベ石が複数みられます。
さらに、強力な按司は、
最も高い場所に位置するイベ石の真横に、正殿を建てて君臨します。
これも大型のグスクにみられる典型的な構造です。
中城グスクで一番高いのは一の郭。
写真の平場が正殿の建っていた場所ですが、そのすぐ後ろ(写真右奥)で1本の木が立っている所に、中城グスクの頂部イベ石が残されています。上の3つのイベ石の内、最上段のものです。
まさにこういう(↓)構造ですね。
今でこそ膝くらいの高さに見下ろす一の郭のイベ石ですが、グスク造営以前、この岩ははるか丘陵の頂上にそびえ立ち、人々は麓から崇めていたのです。
そう考えると、なにか感慨深いものがあると思いませんか?
さて、最後に、中城グスクのジオラマ模型の3Dモデルを埋め込んでおきます。
今帰仁グスクの模型よりも残された自然地形が少し分かりにくいので、頂部イベ石の場所を下の画像に示しました。
平場も石積みもないグスク時代以前、この岩が丘陵の頂上だったと想像しながらご覧ください。
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