7話 琉球と大和、共通する聖地支配の目的
神女は、身に宿した神のセヂ(霊力)を発揮することで、領地支配に大きな影響を与えました。
神女のセヂには様々な種類があります。
・「世添(よそ)うセヂ」
簡単に言うと
世を治める霊力です。
このセヂを授かって初めて、按司には支配地域を統治する力が備わります。
神女の力が純粋に信じられていた時代、按司の任命権は神女にあったと言っても過言ではないでしょう。
・「世果報(よかほう)セヂ」
幸福、豊年、豊穣をよぶ霊力です。
地域の繁栄や豊かな実りは、神女のセヂによってもたらされると信じられていました。
・「軍(いくさ)セヂ」
その名の通り、
戦いに勝利する霊力です。
首里王府が八重山の反乱を鎮圧する際、神女が従軍したこともありました。
反乱軍側の神女と、祈りの力を競い合ったと考えられます。
王府軍に従軍した久米島の君南風(きみはえ)神女は、戦勝後に褒賞を得ました。
君南風殿内(チンベードゥンチ)(久米島)
歴代君南風神女の祭祀場。鳥居があるが神社ではない。
世添うセヂ・世果報セヂ・軍セヂ
これらはすなわち、
政治・財政・軍事
に当たります。
つまり、
聖地を支配するということは、
その地域の政治・財政・軍事を掌握することと直結するのです。
・・・実は、これと似た話を
「3話 なぜ聖地を支配するのか」で書きました。
大和では自然崇拝の聖地に
寺社を建立することで聖地支配がなされました。
そこで行った祈願は
国家安寧・豊作豊漁・戦勝など。
要は
政治・財政・軍事です。
琉球と大和、信仰の形はまるで違いますが、
支配した聖地で行っていた祭祀の目的は、ほとんど変わらないのです。
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