ここに見出しにしたい画像を挿入します
昨年末、与那国島で発掘調査をしてきました。
空いた時間を使って個人的に与那国島の聖地を調べてきたのですが、
なかなか面白い知見が得られたので、まなラボ(地域学び合い研究所)にお願いして
2月12日(金)にお話させて頂くことになりました。
今回の記事は、発表のプロローグです。
***************
御嶽と言えば自然崇拝。
下の写真のように、山や岩などが拝まれているのが典型的な形態です。
クバ御嶽(今帰仁村)
美連嶽(那覇市)
グスクも御嶽のことですが(厳密には、「御嶽とそれを拝む礼拝所を囲った聖域」がグスク)、
グスクの所在地を沖縄本島南部の地形図に落としてみると下の図のようになります。
ほぼすべてのグスクが丘陵頂部に位置していて、その聖域で岩が拝まれいるのが一般的です。
さて、与那国を調査する前、
「与那国の御嶽には、どんな自然が祀られているんだろう?」
とワクワクしていたんです。

与那国島地形図
上の図のどの山に御嶽が位置しているのだろうかと。
ところが・・・

与那国島地形図と御嶽位置
与那国にある13の御嶽のほとんどが、なんの変哲もない所にありました。
しかも、そこで岩とか木とかを祀っている訳ではなく、ただ祠が設けられているだけなのです。

ウラヌウガン

ナウンニウガン

トゥグルウガン
与那国の13御嶽の内、自然崇拝と断定できるのはたった1ヶ所しかなかったのです。
その1ヶ所はこちら。

ヌックウガン
岩がご神体とされる典型的なイベ石です。
この御嶽が位置するのはティンダバナという、島民の始祖神話の残る聖なる丘陵の頂部です。

ティンダバナ遠景
聖なる丘陵頂部で祀られる自然岩。
ヌックウガンは、沖縄本島の御嶽の構造と完全に一致します。
与那国島のほとんどの御嶽が自然崇拝でなかったのは、与那国に自然崇拝がなかったからではありません。
例えば与那国島の最高峰、宇良部(うらぶ)岳。

宇良部岳
当然のごとく信仰対象ですが、御嶽とは呼ばれていません。
他にも与那国島に自然崇拝はちゃんと残されていますが、それは御嶽ではないのです。
拝所があればほぼ御嶽と呼ばれてしまう沖縄本島とは、大きく異なるところです。
与那国の御嶽がほとんど自然崇拝でないのはなぜか?
たった1ヶ所だけ自然崇拝の御嶽があるのはなせか?
そもそも御嶽とは何か?
台湾・中国にほど近い与那国に御嶽があるのはなぜなのか?
2月12日、まなカフェの発表ではこうしたことをお話します。
乞うご期待。
お城・史跡ランキング