
糸満市名城にある3つの島。
1番左の大きな島が
「エージナ」と呼ばれる島です。
近年、
「エージナはグスクだ」とする説が提唱され、web上でも
「この島はグスクであるという説もある」
「グスクがあったという伝説の島」
などといった書き込みが見られるようになっています。
でも、専らグスクを研究している自分からすれば、
エージナはグスクではない。
理由は2つあります。
まずひとつめ。
そもそも今残っているグスクは、史料や口承などで「グスク」と呼ばれていることが確認できるものであって、エージナは史料でも口承でも「グスク」とは呼ばれていない。
ふたつめ。
そもそも「グスク」とは何か?ということが我々はまだちゃんと分かっていない。
だからこそ、グスクは聖域なのか?集落なのか?城なのか?という論争が起こったのです。
ちなみにこの論争は未だ決着がついていません。
「エージナはグスクである」とする説の根拠は、
エージナが聖地であることと、島内に
グスク時代の遺物が散見されることのようです。
これだけ聞くとなるほど、大多数のグスクと共通する特徴を持っています。
しかし実は、
グスク時代の遺物が見つかるのに「グスク」と呼ばれていない聖地(御嶽)はそこそこあります。
これらを全部「グスク」と呼んでいいのか?
という議論は、エージナを「グスク」と断定する前にしなければなりません。
また逆に、
グスク時代の遺構・遺物がほとんど見つからない聖域的グスクもあります。
遺構・遺物が見つかったからといって、安易に「グスク」と呼ぶことはできないという最大の根拠となるでしょう。
まとめると、「グスクとは何か?」を完全に理解できていない私たち現代人が、思い込みで「グスク」を増やしてしまうと、後世に誤った情報を残してしまう可能性があるので、やめた方が良い
というのが自分の考えです。
もっとも後世から見たら、「平成・令和に生まれたグスク」ということで、しっかり「グスク」として定義してもらえるのかも知れませんが。。。
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