グスク、籠城はまったく意識していなかった説

グスク、籠城はまったく意識していなかった説

写真中央やや下の穴は、糸数グスクのグスクヌカー。
昔はここに水が湧いていたそうだ。
(「カー」とは、沖縄の言葉で井戸・井泉の意)

写真右側の石積みは糸数グスクの古い城壁、左側は新しい城壁。
グスクヌカーはなんと、城壁の外にある。
古い城壁を築くときも、新しく城壁を拡張するときも、このカーは城内に入らないように設計されているのだ。

数十年前のグスク論争で、グスクは聖域であって城ではないと主張した研究者は、その理由のひとつとして、石積みの内側に水が取れるグスクがほとんどないことを挙げた。
これに対して説得力ある反論をした研究者を私は知らない。

糸数グスクもまた、城壁内に水場はひとつもない。
糸数グスクはなぜグスクヌカーを城内に取り込まなかったのだろうか?

はっきりとした理由は分からない。
分からないが、糸数グスクでは籠城がほとんど想定されていなかったのは間違いないだろう。

雄大な城壁で知られる糸数グスクだが、どこまで防御性を意識して築かれたかはまだまだ議論の余地がある。


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