グスクまにあっくコラム3
グスクをもっと深く知りたい人のために、他ではなかなか聞くことのできないグスクのマニアック情報をお届けします。
第3回
グスク聖域説はたくさんある
前回のコラムでグスク聖域説には「葬所説」と「自然崇拝説」があることをお話しましたが、この2つはさらに細かく分類できます。
まず「葬所説」。
沖縄では人が亡くなると風葬して肉を腐らせ、残された骨を洗い(洗骨)、それを神(骨神:フニシン)として墓に納めるという葬法が一般的でした。
この一連の儀式の中で、聖域の起源となったのは肉を腐らせた
「風葬所」であるとする説と、骨を納めた
「墓所」であるとする説があります。
次に「自然崇拝説」。
聖域の起源となったのは
「森」への信仰だとする説、
「岩」だとする説、
「山」だとする説などがあります。
他にも私の知らない説があるかも知れません(笑)

これだけたくさんの説があるのですが、これらが「グスク聖域説」として一つにくくられるのはやはり、
【グスクに人が居住するのはあり得ない】という信仰的常識を共有しているからです。
それゆえか、人の居住を前提とする「グスク防御性集落説」と「グスク城説」との論争ばかりが前面に出てしまい、グスク聖域の起源はなんであるかという議論はほとんどなされることなく今に至ります。