沖縄県立博物館・美術館の
「グスク・ぐすく・城」展に行ってきました!
一言で、
熱量が凄い!!
ジオラマ模型が熱い!!
一見の価値ある素晴らしい企画展です。
みなさんも是非足を運ばれてみてはいかがでしょうか?
さて、私もグスク研究者の端くれとして、もう少し具体的に感想を述べたいと思います。
特に素晴らしかったのは、
奄美諸島から先島まで、広範囲でグスクを概観したこと
本島のグスクだけを見ていると、石積みのグスクが突然ぽっと登場するように感じられますが、奄美諸島から先島まで視野に入れることで、グスクの文化がどこからやってきて、どこに向かっていったのかを想定することができます。
また、
中国の城壁とグスクの石積みの共通点を写真で示したのも良かったです。
グスク石積みのルーツはいまだ謎ですが、中国にその可能性があることを示唆した最新の研究を反映しています。
グスクのジオラマ模型やVRなどを駆使して、
地形や構造などを視覚的にとらえられる展示は最高でした!
昔のことのみならず、
現代のグスクの保存や活用に関してまで触れていることは、本当に意義ある内容であったと思います。
いやぁ、本当に素晴らしかった!!
ただひとつ・・・苦言を呈すなら・・・
聖域の展示内容が薄い(;一ω一||)
城・集落としてのグスク展示が最新の研究を網羅しているのに対し、聖域コーナーはただ遺物や史料を並べ、「グスクと聖域とは密接に関係している」と言っているだけ。。。
最新の研究はおろか、従来の聖域研究にもほとんど触れられていません。
従来の研究とは、
グスク聖域説(葬所)や
グスク聖域説(山岳信仰)などです。
聖域の評価なしに、グスクの特質は絶対に語りきれません。
グスクに見られる聖域は、多くが自然岩を拝んでいます。これをイベ石と呼びます。
本土でいえば、磐座です。

米須グスクのイベ石

胡宮神社の磐座
山中の岩を拝む点で琉球と日本の信仰は類似していますが、
日本では、磐座の真横に城や集落を建設することはまずありません。
聖域とはそういうものなのです。
ところが、グスクでは、イベ石の横に建造物がガンガン建てられているのです。
本土の城ではまず考えられない現象
これが「グスク」なんです。
本来はこういう聖域的観点からの議論がもっと必要なのですが、残念ながら、現在のグスク研究はその点でかなり遅れています。
城・集落の研究に特化した考古学分野以外で、グスク研究に携わる人がほとんどいないことが原因なのだと思います。。
グスク聖域がもっともっと注目されることを願って止みません。
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