グスクは聖域であるという確信

グスクは全体が聖域であり、人が住んでいた
というのが私の研究結果です。
「グスク支配者聖域君臨説」
と名付けました。

これを論文風にお伝えしても面白くないので、私の調査過程を、順を追っていく形でお話したいと思います。


話は研究を始める前に遡ります。

神主である私は、全国各地、1000を超える寺社を巡ってきました。
まだスマホもない時代、100円ショップで買った大まかな地図だけを頼りに、2年かけて全国を周りました。

寺社を訪れるとき、そこはしばしば地図に道が記されてないほど山奥でした。
はじめは何度も何度も迷子になりながら探していたのですが、ある頃から、一発で見付けられるようになってきました。

なぜか?

実は、神社仏閣が建立される立地は、全国でほぼ共通しているのです。

地形を見れば、どこに寺社があるか、だいたい分かります。
これは、寺社が自然崇拝の聖地に建立されているからこそなのです。


それから、沖縄でグスク巡りを始めました。
10年ほど前になりますが、まだスマホはありません。
地図にも載っていないグスクを探しました。

これがまた、すぐに見つかるのです。

グスクを探すのと、寺社を探すのと、まるで何も感覚が変わらないのです。


そこで私は確信しました。
グスクは、自然崇拝の聖地に築かれていると。

ところが、グスクの研究史を調べてみると、「グスクに拝所はあるけど集落だよ」(グスク防御集落説)という考えはおろか、
「グスクの拝所そのものがグスク時代(12~15世紀)に存在したかは分からないよね~」
といった考えが、考古学会になかなかの影響を与えていました。


そんなバカな!

この拝所で拝まれている石が、拝まれ始めたのは最近だと言うのか!?

米須グスクのイベ石
米須グスクのイベ石

グスクや御嶽の拝所で拝まれる石を「イベ石(イビ石)」と呼びます。
本土で言うところの磐座です。

この石が、
「いつの時代から拝まれていたか分からないでしょ?」
という所で、考古学会のグスク研究は停滞していたのです。


でもそれはある意味仕方がない。
考古学は、掘って出てきたモノで歴史像を構築する学問なので。
「聖域」は掘っても出てこないのです。。


なので、私の研究は、まず、
イベ石がグスク時代から拝まれていたことをどうやって証明するか?
から始まりました。

無謀とも思える挑戦でしたが、今は胸を張って言えます。
イベ石は、グスク時代から拝まれていた!
と。

どうやって証明したか?
次回に続きます。



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この記事へのコメント
考古学的視点からみるグスク研究以外にはどんな学問視点からグスクは研究されているんでしょうか?

全国各地の寺社を巡ったその経験から仮説をたてどうやって証明していくか。楽しみにしています。

またブログの内容から脱線しないようでしたら寺社をめぐっていた時にインパクトの強かった出来事なども読むことができたら嬉しいです。
Posted by ザビエル at 2019年08月12日 09:53
ザビエルさん

>考古学的視点からみるグスク研究以外にはどんな学問視点からグスクは研究されているんでしょうか?

グスクの各説で言うと、防御集落説と城説は主に考古学、聖域説・山岳信仰説は主に民俗学、となります。(考古学者で聖域説を支持した方もいらっしゃいますが)
この他に歴史に関わる学問として、文献情報を扱う歴史学もありますが、グスク時代の歴史文献がほとんどないため、歴史学がグスク論争に関わることはほとんどありません。

>またブログの内容から脱線しないようでしたら寺社をめぐっていた時にインパクトの強かった出来事なども読むことができたら嬉しいです。

インパクト・・・
警察から職務質問を10数回されたことでしょうか(笑)
それはさておき、確かに、寺社めぐりが私のグスク研究の原点になっているところはあるので、関連あることはお話したいなと思いました。
アドバイスありがとうございます!
Posted by コッコたけぞうコッコたけぞう at 2019年08月13日 00:16
考古学だけを学ぶ、民俗学だけを学ぶではなく、深く理解するためにいろいろな角度からみる(多くのことを学ぶ)ことが大事になりそうですね。

コッコたけぞうさんの「グスク支配者聖域君臨説」楽しみにしています!
Posted by ザビエル at 2019年08月14日 22:24
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