聖域に造営された按司の墓4 安慶名按司の墓

神格化された按司(支配者)の墓は、聖なる山の頂部直下の中腹に造られた。

今回は、聖なる山、安慶名グスクに造営された安慶名按司の墓です。

聖域に造営された按司の墓4 安慶名按司の墓
安慶名按司の墓

安慶名グスクはうるま市の闘牛場の隣にあります。
思ったより知名度が低いようですが、はっきり言って名城です。

聖域に造営された按司の墓4 安慶名按司の墓
安慶名グスクと闘牛場

私が訪ねた時はこのようにうっそうとしていましたが、ネットで検索すると、木々が伐採され見事な石積みがよく見える状態の画像が出てきます。
今もそうなのかな?
今度行ってみよう。

外郭の城門跡を抜けると階段があり、内郭の城門へと続きます。
安慶名按司の墓は、その階段の途中にあります。

聖域に造営された按司の墓4 安慶名按司の墓
具志川市教育委員会『具志川市の文化財 第1集 ―埋蔵文化財編―』1991年の図に加筆

安慶名グスクと按司墓の位置図です。
青丸が安慶名グスク頂部、赤丸が按司墓の場所です。
安慶名グスクの頂部は内郭城門を挟んで北と南にあり、安慶名按司の墓は南側の頂部岩の直下に造られています

按司墓を横目に階段を少し進むと、内郭の城門があります。
これが非常にステキな城門で。。。

聖域に造営された按司の墓4 安慶名按司の墓
安慶名グスク内郭の城門

自然岩のアーチ門といえば南城市の玉城グスクが有名ですが、安慶名グスクの門は石灰岩の布積みが部分的に施され、なんともオシャレな造りになっています。

聖域に造営された按司の墓4 安慶名按司の墓
安慶名グスク内郭城門の石積み

たけぞうは、縦目地の通るこの布積みが、沖縄の石積みの中で一番好きです。

個人的好みはさておき(笑)、城門をくぐり、按司墓が造られた南側の頂部岩を内郭側を見ると、拝所が設けられています。

聖域に造営された按司の墓4 安慶名按司の墓
安慶名グスク南側頂部岩の拝所

北側頂部岩の手前にも拝所が見られます。

聖域に造営された按司の墓4 安慶名按司の墓
安慶名グスク北側頂部岩手前の拝所

これらの拝所が設けられた年代は分かりませんが、安慶名グスクが聖なる山であったことは間違いありません。
安慶名按司の墓は、聖なる山の頂部直下に造営された典型的な按司墓と言えるでしょう。



お城・史跡ランキング





同じカテゴリー(聖域に造営された按司の墓)の記事

この記事へのコメント
安慶名按司の墓が北側の頂部岩の直下ではなくて、南側の頂部岩の直下に造られた理由はあるのでしょうか?
Posted by Xavier at 2020年01月25日 23:18
Xavierさん

鋭いご質問!
結論を言うと、よく分かっていません。(^^;)
江洲按司の墓以外にも、聖なる山の頂部が2つあって、どちらか一方の直下に位置している按司墓は複数あるのですが、なにを基準に決めているのか、共通性を見出せずにいます。。

そもそも「按司墓はなぜあのような険しいところに造営されたのか?」という疑問は複数の研究者が抱いていたのですが、これまで誰も答えを出せませんでした。
私の「頂部直下という位置が共通している」という論は、はじめ提起された仮説と言えます。
今後、さらに事例が増え、調査が進めばさらなる共通項が発見されるかもしれません。

ちゃんとしたお答えになっていなくて、すいません。
Posted by コッコたけぞうコッコたけぞう at 2020年01月27日 02:14
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。